成人を主体とした百日咳の流行について

成人を主体とした百日咳の流行について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/05/20i5n100.htm

平成20年5月22日
福祉保健局

 都内の百日咳患者数は、2008年第20週(5月11日〜5月18日)に0.07人/定点となり、一部の保健所管轄地域では警報レベルの1.0人/定点に達しています。今年1月以降に報告された患者のうち約半数は20歳以上であり、区内の大学1校では百日咳の集団発生が確認されています。
 乳幼児が感染した場合は重症化することが多く、ときには死にいたることがあるので、ワクチンは確実に受けさせておいてください。成人においては、乳幼児に感染させることのないよう、咳エチケットを守るとともに、咳が長びくと感じたら百日咳を念頭に早めに医療機関を受診してください。

発生状況
 第20週の百日咳患者数0.07人/定点は、都内150小児科定点医療機関からの報告によるもので、集計の始まった1999年以降の同時期の中では最も多くなっており、警報レベルの1.0人/定点に達する地域もあります。また、区内の大学1校では集団発生が確認されており、現在調査が継続中です。このような成人を主体とした百日咳患者の増加傾向は2007年後半からみられており、過去に受けたワクチンの効果が低下していることが原因の一つと考えられています。今のところ乳幼児における流行のきざしはありませんが、今後の動向に注意が必要です。

百日咳について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/05/20i5n101.htm

けいれん性の咳発作が特徴
 百日咳は、特有のけいれん性の咳を特徴とする急性気道感染症です。感染から約1週間(6〜20日)の潜伏期間を経て、風邪症状が続き(カタル期:約2週間)、徐々に咳が強くなっていきます。その後、連続した咳の最後に大きく息を吸い込み、痰を出しておさまるという症状を繰り返します(痙咳期:約2〜3週間)。その後激しい咳は徐々におさまりますが、回復まで2〜3ヶ月かかることがあります。

 新生児や乳幼児では、咳に続いて嘔吐や無呼吸発作が生じ、重症化することがあります。成人では、咳が長期間続くものの特徴的な咳発作とならないことが多く、比較的軽症に経過しますが、ワクチン未接種の新生児や乳幼児への感染源となることが問題です。

 百日咳にかかった人の咳やくしゃみ、つばなどのしぶきに含まれる菌を吸いこむことによって感染します。(飛まつ感染)

 都内約150ヵ所の定点医療機関からの報告を見ると、長期的には予防接種の普及により発生は減少していますが、過去5年間と比較すると2008年シーズンは増加傾向にあり、特に20歳以上の成人患者が目立ちます。これはワクチンの効果が低下してきたことが原因の一つと推測されています。

治療には抗生物質が有効
 治療は抗生物質の服用や対症療法となります。服薬期間など医師の指示に従い、服薬・安静につとめましょう。学校保健法では百日咳は第二種感染症に指定されており、特有の咳が消失するまで出席停止となっています(ただし、病状により伝染の恐れがないと認められたときはこの限りではありません)。

 同居家族や濃厚接触者については、予防的に抗生物質を服用することもありますので主治医にご相談ください。

対応のポイント
 咳エチケットを心がけましょう。1) 咳・くしゃみの症状があるときはマスクをする、2) 咳・くしゃみをするときはティッシュなどで口や鼻を覆う、3) 咳・くしゃみをするときは周りの人から顔をそむける、この3つがポイントです。

 咳が長引くときは、百日咳や他の呼吸器感染症の可能性も考え、早めに受診しましょう。

 また、乳幼児の百日咳は重症化しやすいので、早めに予防接種を受けることが大切です。百日咳のワクチンは三種混合ワクチン(DPT:ジフテリア・百日咳・破傷風)として、生後3ヶ月から接種可能です。三種混合ワクチンは副反応が少なく、乳児期にも安全に接種することができます。標準的な接種期間・回数は以下のとおりです。

1期初回(DPT):生後3ヶ月から12ヶ月に達するまでの期間(3回接種)
1期追加(DPT):1期初回の3回終了後、12ヶ月から18ヶ月に達するまでの期間(1回接種)
2期(DT:ジフテリア破傷風):11歳から12歳(1回接種)

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