オセルタミビル(商品名:タミフル)耐性のインフルエンザウイルスについて

今冬のインフルエンザ総合対策について(平成20年度)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/07qa.html

● インフルエンザの治療と対策
Q.18:インフルエンザにかかったらどうすればよいのですか?

自分のからだを守り、他の人にうつさないために、
・ 具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう。
・ 安静にして、休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。
・ 水分を十分に補給しましょう。お茶やスープなど飲みたいもので結構です。
・ 咳・くしゃみなどの症状のある時は、周りの方へうつさないために、不織布製マスクを着用しましょう。(咳エチケット)
・ 人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場などに行かないようにしましょう。

Q.19:インフルエンザの治療薬にはどのようなものがありますか?

インフルエンザに対する治療薬としては、抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビル:商品名タミフル、ザナミビル水和物:商品名リレンザ、塩酸アマンタジン:商品名シンメトレル等)があります。ただし、その効果はインフルエンザの症状が出はじめてからの時間や病状により異なりますので、使用する・しないは医師の判断になります。抗インフルエンザウイルス薬を適切な時期(発症から48時間以内)から服用を開始すると、発熱期間は通常1〜2日間短縮され、ウイルス排泄量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用には用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。(添付文書を参照してください。)

Q.20:薬剤耐性のインフルエンザウイルスとは何ですか。

薬剤耐性のインフルエンザウイルスとは、本来有効である薬剤が効かない、あるいは効きにくくなったウイルスのことです。この薬剤耐性ウイルスは、インフルエンザウイルスが増殖する過程において特定の遺伝子に変異が起こることにより生じると考えられています。

Q.21:薬剤耐性のインフルエンザウイルスと普通のインフルエンザウイルスは何が違いますか。

薬剤耐性のインフルエンザウイルスは、本来有効である治療薬に対し抵抗性を示しますが、病原性について、通常のインフルエンザウイルスに比較して強いものは今のところ確認されていません。また、薬剤耐性のウイルスに関する遺伝子の変異は、ワクチンの効果に影響を及ぼしません。

Q.22:我が国における薬剤耐性のインフルエンザウイルスの発生状況はどうなっていますか?

我が国では、国立感染症研究所において、WHOと協力してノイラミニダーゼ阻害剤耐性株のサーベイランスを行っています。2009年1月8日時点の薬剤耐性に関する中間報告によると、諸外国と同様我が国でも、オセルタミビル(商品名:タミフル)耐性のインフルエンザウイルス(A/H1N1)が分離されています。

現時点では、全国で分離されたインフルエンザウイルス株の数が限られており、また、今後どの型のウイルスが流行するか予測することも難しいため、引き続きサーベイランスを行い、発生動向を注視することとしています。

なお、現時点では、A/H1亜型よりA/H3亜型が多く分離されているほか、B型も分離されています。A/H3N2ウイルス、B型ウイルスについては、現在のところ、オセルタミビル(タミフル)耐性は確認されていません。

我が国における都道府県別のA/H1亜型、A/H3亜型、B型のウイルス分離・検出状況、及び全国の薬剤耐性のインフルエンザウイルスの最新の状況は、感染症研究所のホームページで参照できます。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/influ.html

なお、全世界での薬剤耐性のインフルエンザウイルスの最新の状況は、WHOのホームページで参照できます。

http://www.who.int/csr/disease/influenza/h1n1_table/en/index.html

Q.23:インフルエンザにかかったときに、薬剤耐性のインフルエンザウイルスによるものかをどのように判断したらよいですか。

現在、インフルエンザの診断は、臨床症状と迅速診断キットで行われています。この迅速診断キットでは、A型とB型は区別できますが、A/H1N1、A/H3N2までは区別することができません。

迅速診断キットの結果、地方衛生研究所や国立感染症研究所で実施されている最新のサーベイランスの情報などを総合的に勘案することが考えられます。

我が国における都道府県別のA/H1亜型、A/H3亜型、B型のウイルス分離・検出状況、及び全国の薬剤耐性のインフルエンザウイルスの最新の状況は、国立感染症研究所のホームページで参照できます。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/influ.html

なお、薬剤耐性のインフルエンザウイルスは、本来有効である治療薬に対し抵抗性を示しますが、病原性について、通常のインフルエンザウイルスに比較して強いものは今のところ確認されていません。また、薬剤耐性のウイルスに関する遺伝子の変異は、ワクチンの効果に影響を及ぼしません。

Q.24:感染症発生動向調査で確認されたオセルタミビル(タミフル)耐性のインフルエンザウイルス(A/H1N1)とはどのようなものですか?

感染症発生動向調査で確認されたオセルタミビル(タミフル)耐性のインフルエンザウイルス(A/H1N1)については、昨シーズンからヨーロッパを中心に出現しているオセルタミビル(タミフル)耐性ウイルスと同じ北欧系統となっています。昨シーズンは国内での発生頻度は低く、今シーズン、我が国を含めて北半球全体に広まった可能性があります。これまでオセルタミビル(タミフル)耐性ウイルスは感染性が弱いと考えられていましたので、ここまで広まった理由ははっきりしていません。

なお、分離されたインフルエンザウイルス(A/H1N1)については、今シーズンのワクチン株A/ブリスベン/59/2007の類似株であったことから、これらの耐性株に対して今シーズンのワクチンは有効であることが推測されています。

Q.25:オセルタミビル(タミフル)耐性のインフルエンザウイルス(A/H1N1)に効果のある薬はありますか?

2009年1月8日時点の感染症発生動向調査の中間報告によると、我が国でもインフルエンザウイルス(A/H1N1)について、オセルタミビル(タミフル)耐性のインフルエンザウイルス(A/H1N1)が分離されていますが、このウイルスには、現在のところ、ザナミビル(商品名:リレンザ)に対する耐性については耐性の問題は生じていません。

Q.26:薬剤耐性のインフルエンザウイルスについて、新型インフルエンザウイルスに影響はありませんか。

新型インフルエンザウイルスとは、毎年人の間で冬に流行するインフルエンザとは異なり、動物、特に鳥類のインフルエンザウイルスが人に感染し、人の体内で増えることができるように変化し、人から人へと効率よく感染できるようになったもので、このウイルスが感染して起こる疾患が新型インフルエンザです。

新型インフルエンザウイルスはまだ発生していないため、その性質を発生前に予測することは困難ですが、毎年人の間で冬に流行するインフルエンザの薬剤耐性の状況と新型インフルエンザウイルスは通常はリンクしないと考えられています。

新型インフルエンザ」については、こちらのページをご参照下さい。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html

Q.27:タミフル服用後に、異常行動による転落死が起きているなどの報道がなされていますが、厚生労働省としてはどのように対応しているのですか。

タミフル服用後に患者が転落死した事例等が報告されたことを受けて、平成19年3月には、予防的な措置として、添付文書を改訂し、下記の注意を添付文書の警告欄に記載し、「緊急安全性情報」を医療機関に配布することを製造販売元の中外製薬株式会社に指示しました。
タミフルの服用と転落・飛び降り又はこれらにつながるような異常な行動や突然死などとの関係については、平成19年4月以降、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において調査・審議が行われ、副作用等報告、非臨床試験動物実験等)、臨床試験疫学調査等の結果を検討しています。現時点においては、これらの結果から直ちにタミフルの服用と異常な行動及び突然死との因果関係を示唆するような結果は得られていませんが、明確な結論を得るために必要な解析には至っていません(疫学調査及び臨床試験)。
上記調査会での調査・審議において、引き続き、特に、疫学調査及び臨床試験については、十分かつ慎重な検討や分析等を進めることとしています。
したがって、当面の予防措置として平成19年3月に講じた措置を継続することが妥当であり、引き続き医療関係者、患者・家族等に対して注意喚起を図ることとしています。
なお、調査会の資料は、厚生労働省のホームページの下記アドレスに掲載しています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/s1225-7.html

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