IDSC 2008年52週(第52号)注目すべき感染症 インフルエンザ

IDSC 2008年52週(第52号)発生動向総覧
http://idsc.nih.go.jp/idwr/douko/2008d/52douko.html

注目すべき感染症
◆ インフルエンザ

 インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。現在ヒトからヒトに感染して臨床的に問題となっているインフルエンザウイルスにはA香港型(A/H3N2亜型)、Aソ連型(A/H1N1亜型)、B型の3種類がある。日本においては、他の北半球の温帯地域の国々と同様に例年冬季を中心に全国的な流行が発生し、多くのシーズンにおいて推計1,000万人以上の発病者がみられている。インフルエンザはいわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強く、また重症化することがあり、加えて様々な合併症を招く可能性がある。インフルエンザが疑われる症状を呈した場合は、速やかに医療機関を受診して医師の診断と適切な治療を受けることが重要である。
 インフルエンザは、罹患している人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に放出されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することによる飛沫感染が主な感染経路であり、飛沫等を介する間接的接触による接触感染もあると考えられている。インフルエンザの流行時には、不特定多数の人が集まる場所に行くことはできれば避けるべきであり、外出する際のマスクの利用や帰宅時のうがい、手洗いが奨められる。また、インフルエンザの主な感染経路が飛沫感染であることより、周囲への感染拡大を防止する意味から、インフルエンザに罹患している人、咳嗽などの症状のある人は特に、マスクの着用等の咳エチケットが推奨される。
 
 −省略−
 
 また、急性脳炎として全数報告されているインフルエンザ脳症であるが、今シーズンはこれまでに10例の報告があり、年齢別では3歳3例、5歳2例、6歳1例、8歳1例、9歳1例、10代1例、50代1例であり、3歳、6歳、10代のそれぞれ1例ずつの計3例が届出時に死亡が確認されていた。

昨シーズンからAH1亜型ウイルスについてはリン酸オセルタミビル耐性ウイルスの出現が問題となりつつある。今シーズンに入っても、米国などで分離同定されたAH1亜型ウイルスの多くはリン酸オセルタミビル耐性であるとの報告がある(Influenza Activity---United States, September 28 ---November 29, 2008; MMWR http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5749a3.htm)。また、我が国でも、今シーズン国内で分離されたAH1亜型耐性ウイルスに関する報告が散見されてきている(IASR・インフルエンザ速報記事http://idsc.nih.go.jp/iasr/influ.html)。
 冬季休暇を経て、1月中旬以降にはインフルエンザの患者報告が急増してくる可能性が高いと予想されることから、今後インフルエンザの発生動向およびインフルエンザウイルスの分離状況には、よりいっそうの注意が必要である。

詳しくは
http://idsc.nih.go.jp/idwr/douko/2008d/52douko.html

★★今日のおすすめ本★★

H5N1―強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ

岡田晴恵(著)
価格:¥ 1,680(定価:¥ 1,680)


感染者は、最短4日で脳炎や多臓器不全で死亡。致死率は60%強。医療から物流、交通までストップ。日本はおろか世界中が大混乱に。鳥インフルエンザがヒト型の新型インフルエンザになるのは時間の問題。既に多くの死者を出している現実が、それを裏付けている。強毒性の新型インフルエンザが発生した時、どのように日本に上陸し、拡大していくのか。国内はどんな混乱に陥ってしまうのか。現実を元に、科学的に検証した完全シミュレーション・ストーリー。


★★今日のおすすめ本2★★

企業のための新型インフルエンザ対策マニュアル―事業を継続するために、いま行うべきこと

和田 耕治(著)
価格:¥ 2,100(定価:¥ 2,100)


新型インフルエンザとは
世界で新型インフルエンザの流行が懸念されている。これは本来、鳥同士で感染するH5N1鳥インフルエンザが変異して、人から人へ感染するもので、未知のインフルエンザのため、予防薬も治療薬もないのである。厚生労働省の試算によると日本で蔓延した場合、最大で2,500万人の患者が医療機関を受診し、約64万人が死亡すると予測されている。第1次世界大戦を終結に追い込んだスペインインフルエンザ(スペイン風邪)よりも強毒性のため、200万人以上が死亡するという識者もいる。
▼世界的流行は時間の問題!
現在インドネシアなどでH5N1鳥インフルエンザの鳥-人感染が増えており、甘く考えることはできない。この鳥インフルエンザが変異し新型インフルエンザとなると、交通網の発達により、世界的な流行、日本での蔓延は避けられないとされている。新型インフルエンザが流行すると、その感染力と死亡率の高さから医療機関に患者が殺到し、社会がパニック状態になり、通常の社会活動が営めなくなるのは明らかだ。そうした状況の中で企業活動を続けることは容易ではない。なぜなら、感染を恐れる社員の出社拒否や家族の看護続出で、社員が集まらず、業務が停止してしまう恐れが出てくるからだ。
▼企業が取るべき対策を解説
幸いなことに現段階ではまだ準備をする時間がある。企業が可能な限り準備をすることで従業員ならびに企業への影響を低減することができるであろう。本書は医師で、厚労省新型インフルエンザ専門会議の委員である著者が、流行に備え、企業がどのような対策を打つべきかをわかりやすく解説したものである。


★★今日のおすすめ本3★★

新型インフルエンザ・クライシス (岩波ブックレット)

外岡 立人(著)
価格:¥ 504(定価:¥ 504)


鳥インフルエンザの人の世界での大流行、すなわち新型インフルエンザのパンデミックは間違いなく起きる! 著者が1年半にわたり追ってきた世界の鳥インフルエンザ情報をまとめて紹介し、新型インフルエンザへの対策を探る。


 
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