多剤耐性アシネトバクター・バウマニ等に関する院内感染対策の徹底について

多剤耐性アシネトバクター・バウマニ等に関する院内感染対策の徹底について
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/090123-1.pdf

アシネトバクター属菌について

<当該菌の背景と特徴>
アシネトバクター属菌は、緑膿菌等と同様にブドウ糖非発酵性のグラム陰性桿菌に属する細菌である。元来は、自然環境中や住環境中の湿潤箇所からしばしば検出されるが、非侵襲性の細菌であり、健常者には通常は無害な細菌である。
従来は多くの抗菌薬で治療が可能であったが、近年、各種の抗菌薬に耐性を獲得した多剤耐性株が散見されるようになり、一部で院内感染症の原因となることが問題となっている。臨床的に最も多く遭遇する菌種はアシネトバクター・バウマニである。
アシネトバクター属菌は、癌末期や糖尿病など感染防御能力の低下した患者において尿路感染症、肺炎や敗血症、手術部位感染症などの起因菌になりうる。国内では本菌による感染事例の報告は少ないが、欧米では、人工呼吸器関連肺炎の起因菌として10年程前から警戒されるようになった。最近ではイラク戦争の際に複数の米軍関係の医療施設に収容された傷病兵に、集団的な感染症を発生させたことでも知られている。
カルバペネムや第3世代セファロスポリン等の広域β-ラクタム薬、アミノ配糖体、およびフルオロキノロンの三系統の抗菌薬に広範囲の耐性を獲得した多剤耐性株は、現時点では緑膿菌等と比べ稀であるが、一部の医療施設では、複数の患者から多剤耐性株が検出されているところもある。

<必要な対策等>
アシネトバクター属菌は、緑膿菌と同様に湿潤環境を好み、そのような箇所に定着しやすい。臨床材料としては、尿や喀痰、手術創の膿や滲出液などから分離されることが多い。そのため、人工呼吸器などの呼吸補助のための装置や用具、トイレや汚物室などが汚染され、それらが交差感染の原因となる可能性を想定して、調査と対策を講じる必要がある。また、セラチアと同様に、点滴や輸液ラインの汚染による血流感染も想定し予防する必要がある。
対策としては、緑膿菌と同様に、日常的な医療環境の衛生管理の実施と標準予防策の励行とともに、本菌が尿や喀痰などから検出された患者における接触感染予防策の徹底、さらに、病院内の湿潤箇所や、特に人工呼吸器の衛生管理と消毒などに留意する必要がある。点滴などの混合は、可能な限り無菌的な環境と操作により行ない、混合後、直ちに使用する。
低水準、中水準の消毒薬により容易に殺菌されるが、消毒液に有機物が混入していると、消毒薬の殺菌効果が減弱することが確認されている。
国立感染症研究所 細菌第二部長 荒川宜親


グラム陰性桿菌による院内感染症の防止のための留意点

  • マニュアル作成の手引き-

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/090123-2.pdf


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