新型インフルエンザの大阪における臨床像

新型インフルエンザの大阪における臨床像 2009年5月21日
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/clinical_epi_osaka.html

2009年5月21日IDSC新型インフルエンザ積極的疫学調査大阪チーム

[はじめに]

 2009年5月中旬、兵庫県大阪府において新型インフルエンザ患者の発生があり、両府県を中心に国内の患者数は5月20日現在で200名を超えている。既に両府県では、5月18日より新型インフルエンザ確定患者に対する感染症法を適応した措置入院は中止し、患者の病状に合わせてその多くを自宅療養に切り替えている。

 大阪では、5月20日までに99人の患者発生の報告があり、その発端となったのは大阪府茨木市内にあるK中学・高等学校であり、同校では他県での発生例も含めて64名(生徒61名、職員3名)の新型インフルエンザ確定患者がみられた。また、5月17日には、八尾市内のM小学校の6年生生徒の発生報告があり、同校では5月19日までに5名の確定例が認められた。以上の2つの新型インフルエンザアウトブレイク事例に対する調査によって得られた新型インフルエンザ確定例69例の臨床情報について解析を行い、若干の考察を加えたものを以下に報告する。

〜 略 〜

[まとめ・考察]

K中学・高等学校の64例、M小学校の5例の69例は全て臨床的に入院を要するとは評価されず、抗インフルエンザウイルス薬の投与後比較的速やかに諸症状の改善がみられていた
38℃以上の高熱、咳・咽頭痛・鼻汁・熱感等の急性呼吸器症状はK中学・高等学校、M小学校の症例で共に高率に認められた
全身倦怠感や頭痛はK中学・高等学校では症状出現率はM小学校よりも低く、反対にM小学校の症例では腹部症状は認められなかったが、M小学校の検討可能例数は少ないため、今後更に同年齢層の症例の追加・検討が必要であると思われる
多くは突然の高熱で発症しているが、中には急性呼吸器症状や腹部症状を前駆症状として数日後に高熱を発する例も認められているが、これは季節性インフルエンザでも同様の症例を認めることがあり、むしろ様々な病態をとる可能性があることを示しているものと考える
インフルエンザ迅速抗原検査は、発症1日後では高率に陽性を示していたが、発症日や発症2日後では陽性率は高いものではなかった
検査キットの種類は不明であり、検体採取方法の検討もされていないため、インフルエンザ迅速抗原検査の新型インフルエンザスクリーニングに関する有用性は本検討では評価はできないが、少なくとも臨床現場で同検査が陰性であっても、新型インフルエンザを簡単には否定すべきではないと思われる


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