◆ 新型インフルエンザ 2009年7月8日現在

感染症発生動向調査IDWR 第26週
http://idsc.nih.go.jp/idwr/douko/2009d/26douko.html

新型インフルエンザ(2009年7月8日現在)

本週報では、通常当該週(第26週)までの情報や報告数について掲載していますが、新型インフルエンザに関する迅速な情報提供の必要性を考慮し、本稿については7月8日までに得られた情報や知見、報告に基づいて掲載しています。


 新型インフルエンザA(H1N1)は、急な発熱や咳、咽頭痛などを主な臨床症状とする急性呼吸器疾患であり、季節性インフルエンザとほぼ同様の臨床像を示す。潜伏期間は、多くの場合1〜4日間であり、暫定的ではあるものの、季節性インフルエンザと同様に飛沫感染が主な感染経路であると考えられている。若年者層での発病者の割合が高く、学校等の集団生活施設が大きな感染拡大の場であると考えられているが、地域社会にウイルスが蔓延するにつれて、他の年齢層の発病者も増加してくるものと予想される。

 WHOによると、2009年7月6日現在、確定症例は世界135カ国から94,512名の報告例と、429名の死亡例が確認されている。この2週間で4万人以上の報告数の増加がみられた。北米、中南米、ヨーロッパ、そしてアジアの国々において、患者数の増加がみられているが、これらは実際の発生者数よりもかなり過少評価されている可能性がある。現在冬季である南半球の国々における新型インフルエンザA(H1N1)の流行の推移を監視することは、約半年後の北半球の流行を予測する上で非常に重要である。一方、夏季に入りインフルエンザの季節的流行が通常終息していくはずの北半球の国々でも患者発生報告数の増加が続いている。特に東アジア諸国の患者数の増加が目立ってきており、今後とも注意深く監視していく必要がある。

 日本国内では、7月8日午前11時の時点で、2,018例(検疫対象者20例を含む)の確定例が報告されており、5月下旬から6月初旬にかけて、一旦は患者発生数の減少がみられていたが、その後は継続的に増加傾向を示している。これまでに、山形県を除く46都道府県から患者発生の報告があり、最近では愛知県、広島県、さらに5月に続いて大阪府からの報告数が急増してきている。5月中の患者発生状況と比べると、最近では海外渡航歴のある患者や疫学的リンクの不明な散発例の報告の割合が高くなってきている。しかし、これまでに複数の地域でみられたように、学校等の若年者層の集団生活施設内で、比較的大きなアウトブレイクが発生した場合には、地域内の患者発生数が急増する状況に変わりはない。夏季休暇によって、一時的に患者発生数が減少することも予想されるが、その後通常の季節性インフルエンザが流行しやすい時期が近づくにつれて、学校等の若年者層の集団生活施設を中心とした集団発生が多発し、その勢いを増していくことも予想される。本格的な流行が到来した場合に、国民に医療サービスを提供し続けることができるための医療体制の構築や、各地域ごとの効果的で実施可能な流行拡大抑制対策を準備しておくことは、現時点において極めて重要な課題である。


 新型インフルエンザの最新情報はhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html をご参照ください


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