新型インフルエンザA(H1N1)感染で入院した患者

新型インフルエンザA(H1N1)感染で入院した患者−カリフォルニアー2009年4月〜5月
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/MMWR09_May22_2.html

〜〜前略〜〜

編集者註

 カリフォルニアにおける新型インフルエンザA(H1N1)感染の入院患者の初期のサーベイランス結果は、大半の患者が短期間で退院していることを示している。慢性疾患のない健康であった患者は合併症も無く、平均2.5日の入院期間(1-7日の範囲)で回復した。3分の1の入院患者は胸部X線検査で多肺葉性の浸潤が認められたが、わずか9%の患者がオセルタミフルの治療を受けただけだった。にもかかわらず大半の患者で良好な結果が得られた。 5人の妊婦のうち、2人が後遺症を発症した。しかしながら、その後遺症に関して先行する新型インフルエンザA(H1N1)感染がどのような役割を果たしたかは不明である。

 カリフォルニアにおける入院患者のうち数名は重い症状を呈し、入院が長引いている。ICUで治療を受けたカリフォルニアの6人の患者のうち3人は、引き続き集中治療を必要としていることが注目される。超高齢であることや、複合して衰弱化させる基礎疾患などが、これらの患者の重症度と関係しているのかもしれない。慢性基礎疾患と妊娠は、従来から季節型インフルエンザでの合併症のリスクを高めることと関係しているとされているが[6]、軽度の慢性肺疾患を持つ比較的健常な1人の患者(患者18)が集中治療と人工呼吸を必要とした。どの年代が新型インフルエンザA(H1N1)感染後に入院や後遺症の危険度が高いかについては、より多くのデータが必要である。

 5月15日までにカリフォルニア公衆衛生局の実験室に送られた約11.600の臨床検体のうち、9%がrRT-PCRでインフルエンザA陽性であった。そのうち、季節型インフルエンザの比率はA/H1が23%で、A/H3が28%であった。この結果はカリフォルニアでは季節型インフルエンザが持続して流行しており、インフルエンザ様症状や迅速抗原検査の陽性結果の原因となっていると思われる。この調査では迅速抗原検査で検査された症例の67%が陽性と出ているが、カリフォルニア州公衆衛生局のウイルス・リケッチア実験室が主に外来患者の検査で確認した事例では、偽陽性偽陰性が良く見られている。従って、カリフォルニア州公衆衛生局はrRT-PCR法での検査の重要性を強調している。カリフォルニア州公衆衛生局はまた、rRT-PCR検査、サブタイピングそしてその他の検査のために、カリフォルニアの医師に対して発熱性の呼吸器疾患で入院または死亡した患者の呼吸器検体を収集することを推奨している。

カリフォルニアの検査ガイドラインについての情報はhttp://ww2.cdph.ca.gov/programs/vrdl/pages/diagnostictestingforswineinfluenzaA(H1).aspx. を参照のこと。新型インフルエンザA(H1N1)治療ガイダンスとその他のCDC勧告はhttp://cdc.gov/h1n1flu/guidanceを参照のこと。

参考文献

1. CDC. Swine influenza A (H1N1) infection in two children?southern California, March?April 2009. MMWR 2009;58:400-2.

2. Dawood FS, Jain S, Finelli L, et al. Emergence of a novel swine-origin influ-enza A (H1N1) virus in humans. N Engl J Med 2009;361[online].
Available at http://content.NEJM.org/cgi/content/full/nejmoa0903810.

3. CDC. Outbreak of swine-origin influenza A (H1N1) virus infection?Mexico, March?April 2009. MMWR 2009;58:467-70.

4. CDC. Novel influenza A (H1N1) virus infections in three pregnant women-United States, April-May 2009. MMWR 2009;58:497-500.

5. McGeer A, Green KA, Plevneshi A, et al; Toronto Invasive Bacterial Diseases Network. Antiviral therapy and outcomes of influenza requiring hospitalization in Ontario, Canada. Clin Infect Dis 2007;45:1568-75.

6. CDC. Prevention and control of influenza: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), 2008. MMWR 2008;57(No. RR-7).

(2009/6/1 IDSC 更新)

詳しくは 
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/MMWR09_May22_2.html

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