高濃度にジアシルグリセロール(DAG)を含む食用油等に関するQ&A

高濃度にジアシルグリセロール(DAG)
を含む食用油等に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/090930-1.html

Q1.厚生労働省花王(株)のエコナ等を特定保健用食品として許可していますが、許可の経緯を教えてください。

 特定保健用食品とは、食品の持つ特定の保健の用途を表示することが認められた食品で、特定保健用食品として販売するためには、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、表示について国の許可を受ける必要があります。
 花王「健康エコナクッキングオイル」は、身体に脂肪がつきにくくなる働きが認められている油脂成分の一種であるジアシルグリセロール※を高濃度に含む食用油脂であり、平成10年に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の審議を経て、特定保健用食品として許可されました。
 その後、平成15年に、エコナマヨネーズタイプの製品についても特定保健用食品としての許可申請が行われた際には、薬事・食品衛生審議会における審議に加え、食品安全基本法に基づき食品安全委員会に対しても食品健康影響評価を依頼し、「薬事・食品衛生審議会において行われた、特定保健用食品としての安全性の審査の結果は、当委員会として妥当と考える。」との評価を得て、許可されました。
 なお、特定保健用食品の表示の許可に関する業務は、平成21年9月1日、消費者庁発足を受け、厚生労働省から消費者庁に移管されました。

※一般の食用油グリセリンに3本の脂肪酸エステル結合したトリアシルグリセロールが主成分です。一方、グリセリンに2本の脂肪酸が結合したものをジアシルグリセロールと呼びます。トリアシルグリセロールは体内に吸収後、血中中性脂肪として全身に回り、利用されなかった中性脂肪は体脂肪として蓄積されます。一方ジアシルグリセロールは構造が異なることから吸収後に血中中性脂肪が上昇しにくいとされています。なお、ジアシルグリセロールは、一般の食用油にも、数%程度含まれています。

Q2.なぜ、花王は、エコナ関連製品を一時販売自粛したのですか?

 花王「健康エコナクッキングオイル」に、グリシドール脂肪酸エステルという不純物が高濃度に含まれることが判明したことへの対応です。グリシドール脂肪酸エステルは、主に油脂の製造工程(脱臭過程)において副成されます。一般の食用油中にもわずかに含まれていますが、花王エコナ関連製品には、特に高濃度に含まれていることがわかりました。
 グリシドール脂肪酸エステルの毒性や体内における消化、吸収等については、まだ明らかにされておらず、その健康影響について結論は出ていませんが、花王は、消費者の不安に配慮し、製品中のグリシドール脂肪酸エステルの低減が図られるまで、一時販売を自粛することとした、と発表しています。

参照:http://www.kao.com/jp/corp_news/2009/20090916_002.html

Q3.グリシドール脂肪酸エステルとは何ですか?グリシドール脂肪酸エステルは発がん物質なのですか?

 グリシドール脂肪酸エステルは、グリシドールに一本の脂肪酸エステル結合したものです。
 グリシドール脂肪酸エステル自体の毒性については明らかになっていませんが、体内で消化・分解されてグリシドールになる可能性が指摘されています。グリシドールは国際癌研究機関(IARC) ※によって「人に対し発がんの危険性あり」(グループ2A)と分類されていることから、グリシドール脂肪酸エステルの発がん性について評価が必要になっています。
 グリシドール脂肪酸エステルについて、体内でどのように消化・吸収・分解・排泄されるかといったことははっきり分かっていませんので、グリシドールに変化するのか、どのくらい変化するのかについて、グリシドール脂肪酸エステルの消化・吸収等を解明するための試験を早急に行うよう花王(株)に指示したところです。

※WHOの組織の一つで、物質、混合物、環境による人への発ガンリスクをランク付けしています。発ガンリスク分類は、グループ1:発がん性がある、グループ2A:おそらく発がん性がある、グループ2B:発がん性があるかもしれない、グループ3:発がん性を分類できない、グループ4:おそらく発がん性はない、の5種類に分類されています。

Q4.ジアシルグリセロールには発がん促進作用があると聞きましたが本当ですか?

 平成15年に新たに特定保健用食品として申請された、エコナマヨネーズタイプの薬事・食品衛生審議会新開発食品調査部会における審査において、「発がん性を示す所見は認められず、発がん促進作用※を引き起こすとの報告もない」として特定保健用食品として認めることは差し支えないと判断されましたが、「念のために、発がん促進作用を観察するため、より感度の高い試験を行う」こととされました。
 この時、厚生労働省は、食品安全基本法に基づき食品安全委員会に対し食品健康影響評価を依頼し、その結果、「薬事・食品衛生審議会において行われた、特定保健用食品としての安全性の審査の結果は、当委員会として妥当と考える」「ジアシルグリセロールに係る試験については、結果がわかり次第、食品安全委員会にも報告されたい」との評価を得て、特定保健用食品としての表示の許可を行いました。
 これを受け、ジアシルグリセロールの発がん促進作用については、様々な条件で試験が実施され、これらの試験結果を食品安全委員会へ報告し、現在、食品安全委員会において、食品健康影響評価が行われているところです。

※「発がん促進作用」とは、それ自身が発がんを引き起こすものではなく、他の発がん物質による発がん作用を促進する作用をいいます。

食品安全委員会での最新の審議内容については、下記HPを御参照ください。
http://www.fsc.go.jp/senmon/sinkaihatu/index.html

Q5.なぜ、厚生労働省は、もっと早くに、花王エコナ関連製品の販売禁止等の措置をとらなかったのですか?

 食品の安全性確保のためには、国民の健康保護を最優先に、科学的なデータを踏まえつつ、関係機関が十分に連携しながら対応していくことが必要です。

 花王エコナ関連製品についても、科学的なデータに基づく対応が必要であり、厚生労働省においては、これまでも、食品安全委員会や薬事・食品衛生審議会の審議を踏まえながら、必要な安全性試験の実施や、花王(株)に対する指導を実施してきました。
 その中で、本年7月、製品中に不純物としてグリシドール脂肪酸エステルが高濃度に含まれることが判明したことを受け、その旨を直ちに食品安全委員会に報告するとともに、花王(株)に対し速やかにその低減を図るよう指導してきました。
 また、食品安全委員会からは本年9月、グリシドール脂肪酸エステルに関する追加資料の提出の要請があったことから、現在、花王(株)に対し対応を指示したところです。

 今後、食品安全委員会において、不純物としてのグリシドール脂肪酸エステルの評価も含めて、食品健康影響評価が速やかに実施されるよう、厚生労働省としても、補足試験データの提出等、適切な対応をとっていきます。

Q6.これまで、花王エコナ関連製品を食べてきましたが、健康上問題はないのでしょうか?

 現在、食品安全委員会において、食品健康影響評価が行われているところであり、まだ結論は出ていません。特にグリシドール脂肪酸エステルについては、その毒性や体内における消化・吸収等のデータが不足しており、今後、試験実施等により、知見の収集が行われることになっています。
 なお、花王が行った標準的な試験の範囲では、エコナ関連製品について発がん性は認められていませんが、今後、健康影響に関する情報が得られれば、適宜情報提供していきます。

 
Q7.海外では、どのような対応がなされているのですか?

 「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品」は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで各国の審査制度のもとで安全性の評価を受け、認められています。

 グリシドール脂肪酸エステルについては、海外においてもリスク評価が進められていますが、現時点でこれらの食品について販売禁止等の措置は取られていません。

詳しくは
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/090930-1.html

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